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豊洲へ移転しても築地は健在~仕事の原点「築地ワンダーランド」

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築地は、日本の古き良き労働観を、今も失わず体現し続けている場所であると思う。


仲卸が客に売るべき魚を見きわめる。その知識なしでは、魚は、ただそこにいるだけだ。
ハーバード大学教授・文化人類学者/テオドル・ベスタ―)


釣るプロ。売るプロ。料理のプロ。


そこには、
本物のプロがいる。


仕事とは、
かくあるべき。


築地は、それを、
教えてくれます。


**


2018年10月


長かった猛暑も
やっと落ち着き、
ちょっとずつ
秋の訪れを感じた10月。


そんな10月の
ニュースと言えば。


これ。
www.nikkei.com



築地市場がついに移転、
豊洲市場の開場!


私もさっそく、
豊洲へ行ってみました。


でも。


知らなかったのですが、
築地市場には、
場内と場外があり、
移転したのは場内だけ。


場内は、プロ向けで、
場外は、一般向け。


だから、今でも、
築地の場外は健在!


家庭での食材購入や、
魚を食べに出かけるなら
やっぱり築地がいいかも。




ところで。




とても面白い、
ドキュメンタリー映画
観ました。


その名も、




築地ワンダーランド

TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド) [DVD]



実際の築地を
1年4ヶ月間にわたって
取材をしたもので、
リアルな築地を知れます。


日本の食文化は、


そして、


日本の仕事の原点は
築地にあり!


魚や築地に興味がなくても、
仕事へのプライドが
ガンガン伝わってくるので、


仕事で悩んでる人には、
ぜひ見てほしい。


世界一の魚市場、
世界一の仕事。


築地は、そんな世界。


※築地ワンダーランドなので、
豊洲ではなく、
築地と書きます。


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世界一の魚市場

江戸時代からの伝統

今回、豊洲へ移転しましたが、
そもそも、築地の前は
日本橋だったそう。


それは、江戸時代の話。


日本と言えば、
そして、江戸と言えば、



やっぱり。




寿司

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もちろん、魚は、
煮ても焼いてもおいしい。


でもやっぱり、
ナマで食べるのが
日本のこだわり。


ナマで食べるには、
新鮮さを
保持しなければならない。


そのため、
漁師も、卸業者も、
買いにくる料理人も、


技術とプライドが、
並じゃない。


加えて、
信頼と感謝の心・・・


魚には、
日本のプライドが
ギュギュー!!っと、
つまっていたのです。


それを知ると、
市場へ行きたくなります。
魚を食べたくなります。


感謝の気持ちで
食べなきゃなぁと。


今では、
多いときで、
1日3200トンの魚、
30億円のお金、
6万人の人。


名実ともに、
世界一の規模のものが
動いている。


平均しても、
1日2万人の人が
築地を訪れるそう。


あれに匹敵するものは
世界中に一軒もない。
断言できます。


商品知識があるだけじゃなくて、
食べ頃まで全部、熟知しているプロフェッショナルがいる、世界唯一の場所。
そういうふうに確信しています。
(料理評論家・山本益博


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築地は、プロにとっての聖地

仲卸(なかおろし)は、選ぶプロ

漁師さんも命がけでとってて。


いい魚をつくりたい。
でもそのいい魚って、
皆にとってのいい魚かどうかは、
まだわからなくって。


評価が出るように、
お客様とつなぎあわせて
喜んでいただける方に渡していくのよ。
(仲卸)


卸し(おろし)に対して、
偏見をもちすぎていた。


築地ワンダーランドを見て、
そう思いました。


中間に卸業者をはさむと、
マージンをとられ、
差別やムダばかり
押しつけられる。


そんなふうに
思っていたんです。


だから、
「産地直送」なんて聞くと、
まぁステキ!
と、思ってしまいます。


だけど、築地の卸しは、
まったく違う。


そこは、
プロの集まりでした。


流れとしては、

①卸売業者が、魚を手にする。

②仲卸は、セリで魚を買う。

③料理人は、仲卸から魚を買う。



仲卸とは、
魚を選ぶプロ。
目利きがすごいんです。


そして、仲卸は、
「売れればいい」
という気持ちではない。


オレがいいと思ってもさ、
お客さんがいいって言わなかったら
始まんないでしょ。
自分がいいと思って出してもさ、
よくねぇって言われたらさ、
よくないんだよ。
いいと思って出したのに~!とかさ、
なんでわかんねえんだよ、あいつは?
なんて思ったら、もう終わりじゃん。


お客さんが売れるでしょ。
お客さん売れたら注文くるでしょ。
もう、それのずっと繰り返しなの。
片方だけ儲かることは、まずありえない。
みんなつながってるからさ。
(仲卸)


本当にいい魚を、
本当にいい人に渡したい。
最高の料理にしてくれる人に。


だから、ウソはつかない。
悪いものは悪いって言う。


魚の知識はもちろん、
常連さんの好みも
知り尽くしていて、


お宅のお店で出すなら、
この魚。


この魚なら、
こういう料理に合う。


そんな助言までする。


いいときも悪いときも、
目と目を交わして、お互いに気持ち込めてやるから。
コンピュータとか、ただ電話だけの話じゃない
(仲卸)


AIに仕事を奪われる。
なんて話もありますが、


信頼で成り立つ仕事は、
やっぱり、
AIよりも強いんじゃ、
なかろうか・・・


魚買えるのはね、
お客さんがいるから買えるから。
いい魚買ってるからお客さん来るわけじゃなくって、
お客さんが買ってくれるから、いい魚が買えるわけでしょ。
(仲卸)


そんな感謝の気持ちは、
漁師さんに対しても、
向けられてました。


感謝の気持ちはいっぱいですよ。
いいものはいいものなりに、バカみたいな値段が出るのよ。
それで励みになって。


生産者も一生懸命、離島からも石垣島からも来てくれんのよ。
そういうものに対して感謝の気持ちっていうのが、
築地の原点じゃないかな。
(仲卸)


築地というと、
東京の魚なのかな?
とも思いがちですが、


実は、
日本中・世界中の魚が
集まってくるそう。


台風など、
海の天候に左右されるので、
毎日毎日、
今日の仕事がどうなるか?
わからない。


漁師も、仲卸も、
緊張の日々で。


だからこそ、
いい魚をもってきてくれたら
感謝しかない。


自然が相手だからこそ、
感謝や謙虚さと、
向き合わざるを
得なくなるのでしょうね。


それに比べ、
人工的な商品とか、
サービスとかだと、


ついつい、
自分がやってやった!
って、なりがち。


なかなか難しいですが、
そんなときは
築地の原点を
思い起こしてみよう。


オレはもう、自分の好きなエビを、
好きな人に売るだけ。
あんまり仕事と思ってないから。
まぁプロっていうか、半分バカだな。
もう、これ(お金)考えたらやってらんないよ。
(エビの仲卸)


お金よりも、使命感。


仕事の本質が、
すべてありました。


正直、私は、
会社勤めが
好きじゃなくって。


だから、自分以外の人が
どう仕事をしているのかが
興味あるんです。


LINEの森川さんとか。
ichigo-it.hatenablog.com


Windows95を開発した
中島さんとか。
ichigo-it.hatenablog.com



まったくもって、
真似も実践も
できないのですが。


他人の仕事術って、
なぜか響く。


築地の仕事も、
見てるだけで
ワクワクしてきました。



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料理人は、魚料理のプロ

活けもの屋さんだとか、貝類だとか、
それぞれ専門の人が要るんで。


デパート行って全部買うんじゃダメ。
専門の人が要るんです。
(和食料理人)


料理人(シェフ)は、
なぜ築地で仕入れるのか?


それは、
専門の人から買うため。


ちゃんと選別された魚を
手にしたいから。


料理人は、
料理のプロであって、
魚を選ぶのは、
仲卸にはかなわない。


日々、魚に触れていて、
漁師や卸売業者、
同業者からの情報量が
圧倒的に違う。


鮮度を保つ技術もすごい。
魚への愛もすごい。


だから信用できる、と。


ちゃんとした免許を持った人たちの、
その方々の目を通ってからのものしか、
やっぱり怖くて扱えない。
昔、築地から仕入れてますってやって、
そのあと産直に変わって、僕は今また、
築地に戻ってる気がしてしょうがないんです
(和食料理人)


産地直送って、
いいものも悪いものも
直送されてくる。


そんな危惧もあるって
ことですね。


仲卸の人たちは、ほぼ全員、お店に食べに来てくれた。
僕たちがどんな仕事をしているか、
理解するためにわざわざ来たのだ。


仲卸の人たちとはお互いに、深い信頼関係を築いてきた。


どういう料理に使う食材を探しているのか、
僕が言うと詳しく説明してくれる。
それぞれの魚の種類や特徴に合ったいい調理法のアドバイスをくれるのだ。
市場に来ないと聞けないことだ。
(フランス人の和食料理人)


料理人が、
いい魚だと思っても、
仲卸から、
「あ、それは良くない」
と言われるそう。


最高の料理を作るために、
仲卸からの
アドバイスを聞きたい。


そんなふうに、
仲卸と料理人との信頼が
強く築かれていました。


我々が最後に出すときに
お客さんを幸せにしなかったら
シャレになんないですよ。
お客さんに対して
我々のなかで完結して、自己満足で出して
お客さんが不幸になったら、
もうこれは終わりなんです
お客さんが喜んで始めて、
みんながやってきたことが
幸せになるんです。
(和食料理人)


最初から最後まで、
すべての流れが
プロ意識に包まれてる。


そうして私たちは、
お寿司を、
おいしい魚料理を、
食べることができるのです。


魚が、
食べたくなってきますよね!


**


築地は、本当に、
日本の伝統と誇り。


The・仕事!


って感じでした。


仕事のやり方とか、
モチベーションとかで
悩んだら、
ぜひ見てほしいです。


とってもオススメ。


どうすれば、
築地のようなプライドを
もてるだろうか?



どうしても、
プライドをもてないなら・・・




お寿司を
食べよう!



築地のビジネスは、信頼関係で成り立っている。
決済でビジネスが成り立つ欧米とは全く違うやり方だ。


シェフにとっては築地は、
考古学者にとってのエジプトで、
必ず訪れるべき場所だ。
(欧米人シェフ)


聖地・築地
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