どうにでもなれ効果:自分を責めると、絶対に変われないのです
自己批判はうつ病の最大の予兆であり、うつ状態では「やる力」や「望む力」が失われてしまいます。
これに対し、自分への思いやり──自分を励まし、自分にやさしくすること──は、やる気の向上や自制心の強化につながります。
自分に素直になろう。自分を受け入れよう。
自分を責めるとウツになる!
今回は、どうにでもなれ効果の話です。
「スタンフォードの自分を変える教室」
①イヤな出来事が起きる
↓
②自己嫌悪に陥る
↓↑
③息抜きを求める(どうにでもなれ)
↓↑
④自己嫌悪に陥る
どうにでもなれ
苦痛を感じると、気分を上げたくなる
私たちは少しも楽しくないのに欲しいものを求め続け、満足をもたらすどころか悲惨な結果を招くものを消費し続けます。
落ち込んだ時に、「もう、どうにでもなれ」と投げやりになってしまう
そんな経験、ありますよね。
人は、自己嫌悪を感じ続けることに耐えられません。
だから、どうにかして、一瞬で気分を上げようとしたくなるのです。
この本ではそれを、「どうにでもなれ効果」と呼んでいます。
もちろん、リフレッシュは大事。
リフレッシュして、新たな気持ちで頑張れればいいのです。
ここで問題にしているのは、リフレッシュのために「何をするか」です。
「治療」なのか、「痛み止め」なのか、その違いです。
空虚感に襲われるなら、まやかしの報酬
必ず期待どおりに楽しい気分になれるかというと、そうではありません。息抜きのつもりでしたことが、逆に害になることはよくあります。
「痛み止め」の効き目は一瞬です。
効果がきれると、また自己嫌悪に戻るんです。
そしてまた、「痛み止め」を服用し、無限ループから抜け出せなくなります。
ストレスを感じているとき、人は分別を失います。
だから、速攻で効き目のある、「痛み止め」に魅力を感じてしまうのです。
欲しくて欲しくてたまらないのですが、手に入れた後は、たまらない空虚感に襲われます。
空虚感しか残らないような報酬なら、それは、心からの望みではありません。
それを「まやかしの報酬」と呼びます。
まやかしの報酬:空虚な気持ちにさせるもの
ほんとうの報酬:人生に意義を与えてくれるもの
落ち込んだ時、人に相談すると、「気分転換しなよ」「リフレッシュしなよ」と、よく言われませんか。
息抜きが足りない、と。
ただし、その言葉には注意が必要です。
「そうだな」と鵜呑みにして、安易な行動をとると、かえって落ち込みが激しくなる可能性もあります。
そして、アドバイスしてくれた人を恨みたくなるものです。
必要なものは、リフレッシュではありません。
自分にとって何をすることが、気分の回復になるのか、まずはそれを知ることです。
まやかしの報酬と、ほんとうの報酬とを、きちんと区別しておかなければなりません。
自分の本来の望みを明確にしておくことです。
それがわからないと、無限ループにはまってしまいます。
理性には頼れない
危険なのは、最初につまずいたときに自分を恥じたり、後ろめたく思ったり、自制心をなくしたり、希望をなくしたりすることです。
まやかしの報酬だとわかっていても、ストレスがたまった時には、やはり、どうにでもなれと思ってしまうのです。
そんな時は、どうしたらいいでしょうか?
自暴自棄に走る前に、理性で止めますか?
なかなかレベルが高いですね。相当な意志の強さが必要となります。
特に、ストレスを強く感じてる時には無理なことです。
では、どうするかというと、そもそもストレスを感じたときに、自己嫌悪を抱かないようにする
それがポイントだそうです。
治療よりも予防に力を入れようということです。
それが次の話です。
自分に優しくする
自分との対話は、他者との対話と同じように
自分に思いやりをもってふり返った場合のほうが、自分を厳しく批判した場合よりも、失敗したのは自分のせいだったのだ、と認めやすくなります。また、そのほうが他人の意見やアドバイスに対しても進んで耳を貸せるようになり、失敗の経験から学ぶことも多くなるのです。
「人を動かす」には、他者との効果的な対話方法は、議論をしないこととありました。
実はそれは、自分との対話でも言えることなんです。自分と議論をして、誤りを指摘して、自分の自尊心を傷つけて、その結果、どうなるかと言うと・・・
自分に反発をするんです。
自分が自分に反発します。もう自分の目標なんてどうでもよくなり、自分の理性の声には聞く耳をもたなくなります。
他者との対話も、自分との対話も、原理はまったく同じだったんです。
だから、自分に優しくしてあげよう。自分で自分の自尊心を尊重しよう。
傷つけてはいけない。内なる自分が反発を始めます。
許してもらったほうが、変われる
自分に対して思いやりをもつことで罪悪感が和らぎ、自分自身に対する責任感が増すのです。
ダイエット中の女性に関する、次のような研究結果があるそうです。
「仮に食べ過ぎても、自分に厳しくしないで」と言われた女性は、食べ過ぎる回数が減り、実際に体重も減った、と。
人は、許されると安心するんです。安心すると、自然と頑張ろうという気持ちがわいてきます。
逆に、厳しく責められると、反省して改めることさえ、どんどんできなくなるそうです。
罪悪感を抱き、自分を許せなくなるからです。
何をしても許されない。その不安感から、
「どうせ許されないなら・・・」
投げやりな気持ちに変化してしまいます。
人が変わるために必要なものは、「安心感」だってことですね。
「時には厳しく」と言っても、「厳しさ」の裏に「愛情」があることが必須です。
愛情さえあれば安心できるからです。
また、悩んだり落ち込んだりするのは、罪悪感や自己批判に悩まされている状態です。
罪悪感を持たなくていいなら、逃げる必要もなくなります。
失敗に対してきちんと向き合うことができ、次はどうしようかと冷静に考えられるものです。
罪悪感を持たない
自己批判をしない
自分を許す
自分に優しくする
脳を、自分の生徒として扱う
毎日数学をやれば、数学に強い脳になります。心配ごとばかりしていれば、心配しやすい脳になります。繰り返し集中を行なえば、集中しやすい脳になるというわけです。
繰り返し行なうことは脳にとって容易になるだけでなく、それに合わせて脳じたいが変化していきます。
脳は、筋肉と同じだそうです。トレーニングを重ねれば、必ず鍛えられます。
大事なことは、毎日毎日繰り返すことです。
幼い子どもをさとすように、自分の脳にもよくよく教えてあげること。
自分に優しくすること、許すこと、そして、自分の本来の望みに向かって進むこと。
それらを毎日、脳に刻むようにしてみる。
自分に優しくする、そのことを習慣化しよう
自分は何をやってもダメなどうしようもないやつだから失敗したんだ、などと思ったりすれば、自分のことをどんどん嫌いになるだけです。そうすると、失敗から学ぶどころか、自分の苦しみを和らげるだけで精一杯になってしまいます。ですから、自制心を発揮したいと望むなら、自己批判はかえって逆効果です。
そうは言っても。
くよくよ考えないって、できますか?
~まとめ~
まやかしの報酬には要注意
自分に思いやりをもてば、変われる
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人間関係の悩みを解決するには、まずは自己受容。
「嫌われる勇気」シリーズ
①人間関係は人生のタスク
②自己受容と課題の分離
③他者信頼と他者貢献
じゃあ、自分を受け入れるにはどうしたらいいの?
それが、このシリーズ。
【ハーバード・スタンフォードシリーズ】
「ハーバードの人生を変える授業」
①自分に嘘をつくことが一番のストレス
②完璧主義は現実拒否。受け入れよう
「スタンフォードの自分を変える教室」
①どうにでもなれ効果 ←今ココ
②シロクマのことは考えないで!
③いつわりの希望シンドローム
「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」
①ストレスフリーって実は不幸
②ストレス肯定は、自己肯定