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持つべきは自信よりも謙虚さ~ソクラテスよりも賢くはなれない

ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)



なにか知っていると思っているが実はほとんど何一つ知りはしない人間たち


ソクラテスが何も知らないと言っているのに、
なぜ私たちはソクラテスより賢いのか?
カーネギーは、
そんな問題提起をしていました。
ichigo-it.hatenablog.com




フランクリンは、
ソクラテスの対話術を学んだと
言っていました。
ichigo-it.hatenablog.com




とても気になったので、
ソクラテスの弁明」を
読んでみました。


ソクラテスは、
真実を語ったがゆえに、
有力者・権力者から憎まれ、
こじつけのような罪で
死刑にされてしまった人です。


この本は、
裁判にかけられたときに、
ソクラテスの語った言葉が
書かれたものです。


裁判のときの弁明が、
こんなにも読まれている、
そんな事実だけでも
すごい人だということが
わかりますね。


イエス・キリストよりも
ずっと前に生きた人です。


死刑にされた理由など、
キリストと共通しているのも
考えさせられる点です。
いつの時代も、
権力悪は変わらないのです。


この本を読んだだけでは、
ソクラテスの何たるかまでは
わかりませんが、
話し方だけでも
誰もが圧倒される、
そんな雰囲気を感じます。


人間には、
「知らない」という謙虚さが、
必要だということです。



ソクラテスの知恵

知らないと思っている(無知の知

どうやら、なにかそのほんの小さな点で、私はこの人よりも知恵があるようだ。つまり、私は、知らないことを、知らないと思っているという点で。


ソクラテスは、
当時、世間で賢者と仰がれていた、
政治家・詩人・職人を訪ねて歩き、
真の知恵者かどうかを
対話によって確かめたそうです。


その結果、
ソクラテスよりも
知恵のある人はいなかった、
とのことです。


ソクラテスは、
自分が知恵があることを
証明したかったのではなく、
逆に、自分より知恵のある人を
探していました。


なので、失望したようです。


ソクラテスの言う、
知恵のある人とは、
知らないことを
知らないと思っている人
」です。


ほとんどの人が、
自分は知恵があるとうぬぼれ、
知らないことでも
知ったかぶりしたり、
傲慢になっていたり、
そのような点が見受けられたそうです。


知らないことを
本当に知らないと思っている人は、
ソクラテスだけ
だと。


なお、日本では
無知の知」という言葉が
有名になっていますが、
厳密に言うと、誤訳のようです。


無知の知」というと、
「知らないことを知っている」
という意味になり、
「知っている」と言ってる時点で、
傲慢になってしまうのです。


ソクラテスの主張は、
「知らないことを知っている」ではなく、
知らないと思っている」なのです。


本当に知らないのだ、と。


素直に「知らない」と言うこと、
そして、知っている人に、
謙虚に教えてもらうこと、
それがソクラテスの主張する、
真の知恵者です。


評判の高さは、知恵とは関係ない

もっとも高い評判を勝ちとっている人たちに、ほとんど最大のものが欠けている、と思われたのです。それに対して、劣っていると思われた人たちのほうが、思慮を備えているという点では、ずっとマトモな人間だと思われたのです。


地位を得ている人は、
その地位だけで尊敬されます。
周りも勘違いしますし、
本人も勘違いするのです。


その結果、たいしたことないのに、
どんどんイメージばかり
良くなっていく場合もあるのです。


立派だと尊敬している人、
いますか?
本当は見せかけかもしれないですよ。
そう思わされてるだけ、
それは、よくあることです。


日本で言えば、
鎌倉時代の「良寛」もそうです。


良寛と言えば、
良寛さま」と呼ばれるくらい、
今でも崇められています。


だけど本当は、
自分の私利私欲しか考えてなかった、
そのことは
あまり知られていません。


今も、ネットで検索すると、
名僧だったという記事が多いですが
実際は違うんです。


それなのに、いまだに、
素晴らしい人として
尊敬されているわけです。


それは、一度、尊敬できる人だと
認識された場合は、
ずっとそれが続くからです。


だからこそ、そのような人たちは、
真実を暴かれることを
いつも恐れているんです。


歴史を見ると、
権力者からの迫害、
必ずそういうことが起こります。


権力者が、
その権力にものを言わせて、
真実を語る人を
おとしめてきたわけです。


そして、そのような理由から、
権力者から迫害された人は、
正しい人だったと
見ることができます。


それは形を変えても、
現代でも同じことが
実はおこなわれています。


そう思ってニュースを見ると
見え方が変わってくるはずです。


地位や名誉がある、
人から尊敬されてる、
だからといって
うぬぼれてはいけないですね。


そこまでのレベルではないにしろ、
誰しもが、
自身の傲慢さと戦うのは
人生のテーマと言えるでしょう。


逆に、人の姿を見て、
憧れたり嫉妬したり
自分と比べたり
そんなふうに
惑わされる必要も
ないということです。


立派そうに見えたとしても、
ただの勘違いで、
たいして変わらないのですよ。



うぬぼれは、知恵ではない

技を見事になしとげるからといって、それぞれの職人は、他のもっとも大切なことについても、自分がもっとも知恵ある者だと自惚れてしまっていたのです。この調子外れが、彼らのあの立派な知恵までも覆い隠していると思われたのです。


ソクラテスの時代は、
職人は尊敬のマトだったようです。


誰にも真似できないような
技術を持っていますからね。
なくてはならない人、
そういう存在だったのでしょう。


今みたいに、誰もが、
何でもできるような状況では
なかったでしょうから、
魔法のように思われたかもしれません。


ただ、技術がすごいからと言って、
自分がすごいわけではありません。


そこを勘違いして、
うぬぼれてしまう人が多いですよね。


ソクラテスはそれを見抜き、
職人の中で、
本当に知恵のある人はいないと
断言しています。


今も同じです。
会社にも、世間的にも、
技術的に素晴らしい人はいますが、
やはり、うぬぼれてしまう人は
多いのです。


仕事のできない人を
バカにした発言はよく聞きます。


自分の技術に対する過信、
それによるうぬぼれ、
「自信をもとう」とは言いますが、
間違った自信は不要です。


気をつけなければなりません。


ソクラテスでさえも、
「自分は何も知らない」と
言っているのです。


本当の偉人は、
自分は賢いとは思ってないのです。


自信をもたなきゃという幻想に、
とらわれすぎないほうがいいですよ。


自信よりも、
謙虚さのほうが
素晴らしくないですか?



真実を語る人、語らない人

なぜ、ソクラテスは憎まれたか

自分では知恵があると思っているが実際はそうでない、ということを当人に示そうと努めました。このことから、私はその人に憎まれ、また、そこに居合わせた多くの人たちにも憎まれたのです。


ソクラテスは、
真実を語ったがゆえに
憎まれました。


「あなたには知恵はない」と、
皆の前で断言したのです。


それは、批判のためではなく、
真実を伝えただけでした。


それによって憎まれるわけです。


正義を語る人
真実を語る人


そういう人が常に迫害されます。


状況も時代背景も違いますが、
そこから学べることは、
言うべきことを言える人が
賢い人ということですね。


何も言わないというのは
傍観者のやり方です。


自分で語るというのは、
とても怖いことでもありますが、
勇気ある行動なのです。


それが真実だった場合には、
言われたほうも
勇気をもって聞くべきなのです。
自分の正しさに固執すると
何も変わりません。


もちろん、
何でもというわけではなく、
それが人々のためになるなら。
そういう意味なのでしょう。


知恵のない人は、語りたがらない

彼らは真実を言いたくないのだ、と私は考えます。それは、知っている振りをしているのに、実際にはなにも知ってはいないことが、明らかになってしまうからです。


権力をもってる人、
地位の高い人は、
人前に出ようとしなかったり、
真実を語ろうとしなかったり、
逃げまわったりしますよね。


それは、
化けの皮をはがされるのを
恐れているからなんです。


だから、隠れたがる人というのは、
何かを隠しているんです。
何か言いたくないことがあるわけです。


そして、心の中に、
不実な部分を抱えているんです。


よく見てみれば、見抜けるはずです。


自分自身も、
黙りこくってしまうときというのは、
何かに怯えていたり、
何かを隠したかったり、
そんなときですね。


隠さずに、自分は無知だと
認めてしまえばいいのです。
謙虚に生きるって
すごく難しいですね。



死を恐れるということは、皆さん、知恵がないのにあると思いこむことに他ならないからです。それは、知らないことについて知っていると思うことなのですから。


死ぬことでさえ、
どういうことなのか、
私たちには
何もわかっていません。


知ったかぶりはやめよう
それこそ知恵者だ
ということです。


なかなか奥深いですね。


戦うべきは「他人と」ではなく、
「自身の傲慢さと」なのです。



~まとめ~

「知らない」という謙虚さをもとう


私たちの敵は他人ではなく
常に、自身の傲慢さ




ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)

ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)