読書はスポーツ。基本姿勢を知らないと上達しません。
寝っ転がって本を読んでませんか? ソファの上で、ゆったりした姿勢で読んでませんか?
本の内容が頭に入ってこないなら、姿勢に問題があるかもしれません。
読書にも基本姿勢というものがあるのです。
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本は、寝っ転がって読むもの。そう思ってました。
だって、リラックスが目的だし。ゆったりしたいし。読書ってそういうものじゃないの?
だけど、そうじゃなかったんです。
なぜなら、読書はスポーツだから。
なぜスポーツなのかといえば、手を動かすし、目を動かすし、脳も動かす。まさに、「運動」。
そんなこといったら、すべてが運動じゃないか!と思いますが、すべてがそうなんだと思います。
だから、何をやるにも役立つ話です。
スポーツでまず習うことは、基本姿勢ですよね。姿勢を気にするだけで、ぐっと効果は高まります。
野球でもバレーボールでもテニスでも、構えの姿勢があります。自己流のめちゃくちゃな姿勢では、ボールは打てない。
そして、準備運動と毎日の練習。
やることはすべて、スポーツと同じです。
特に、日本古来からの武道とか合気道とか剣道とか、「○○道」とついているものって、先人が磨きに磨きあげてきたものなので、やっぱり深いです。
効率よく結果を出すとか、人気を得るとか、オリンピックのような目先の利益のためとかではなく、もっと長期間にわたった人間的な修行というイメージがある。
精神統一から入り、日常生活や生き方にまで影響を及ぼしている。
そんな深い心得があるから、いつの時代になっても色あせないのかもしれません。
そんな「○○道」のような気持ちで読書に取り組んでみると、気分も盛り上がります。ちょっと高尚な自分になれたような? そんな錯覚から始めてみるのもいいかも。
集中力を高めて、読書モードに入ろう
基本姿勢を作り、準備運動をする
本を読む前に必要なことは、読書モードに入るというスイッチを入れること。基本姿勢を作って、準備運動をすることです。
道場に入ると、最初に一礼をしたりとか、決められた手順を踏んだりとかして、まずは儀式をおこなうと思います。
そのなかで呼吸と心を調(ととの)えていく。
そんな感覚です。集中状態を作り出すのです。
- ①姿勢を調える
背筋を伸ばし、上半身は力が抜けている状態。下半身で体を支える。
- ②息を調える
息を大きく吸って、ゆっくり吐く。吐いている空気の流れを鼻の奥で感じる。
- ③心を調える
目は前を向いているけれど、意識は少し引いている。幽体離脱のように自分を後ろから眺める。
→静まりの完成
- ④ステートチェンジ(脳の状態を変える)
呼吸の流れ、体の感覚を感じ続けると、脳の状態が変わる
→これでスイッチオン
読書のためにそこまでやるのか?って感じですが、やってみると効果テキメン。本の内容が頭に入ってくる感覚が、これまでとガラッと変わります。
寝っ転がって読むのは邪道だったのです。
まずは、①姿勢を調える。
それだけで、集中力が増すそうです。
ゆったりしたソファに座ると眠くなってくるのは、集中力が切れるからです。集中力がオフになって眠る準備に入るんですね。
集中力が続かない…と思ったときは、必ずと言っていいほど姿勢が乱れています。姿勢を正してみるだけで集中力が戻るかもしれません。
そして、②息を調える。
腹式呼吸がいいそうです。瞑想です。
スポーツでも瞑想を取り入れると効果が高まることが知られていますよね。瞑想状態に入ることで、集中力がアップし、感性が研ぎ澄まされていくようです。
マインドフルネスですね。
息を吐くときには、不安やストレス、イヤな気持ちをすべて吐き出すようなイメージで。息の流れを意識すると良いそうです。
新しい知識を身につけようとするときには、古いもの・邪念などは吐き出してしまったほうが入ってきやすい。
これには、なるほどなと思いました。
ストレスがたまっているときって、読んでいるようで読めてない。まったく頭に残ってないですよね。
だから、まずは瞑想状態に入ること。新しいものを取り入れるという準備をするということです。
読書に限らず、仕事とか家事とか、何かをするときに必ず心がけてみると、結果が違うと思います。
そして、③心を調える。
世阿弥の言葉に、「目前心後」というのがあるそうです。
- 目前:目で前を見よ。
- 心後:心を後ろにおけ。
目はお客さんに向いているけれど、心は舞台の奥において、自分の姿を後ろから見るような感覚で舞いなさいという意味。
幽体離脱のようなもの。
前だけを見るという「前のめり」の姿勢では、必死すぎて視野が狭くなるそうです。周りが見えなくなります。
前だけをじっと凝視するのではなく、ちょっと引いた感覚で、後ろからふわぁっと見ている感じ。一歩引くことで本当の集中状態に入れるというのです。
たとえば野球選手は、ボールは目で追わないらしいです。どこを見ているのか?というと、ピッチャーの姿。
ボールを見つめると、逆に動きが遅くなり、バットに当てられなくなる。でも、ピッチャーの姿を見ていると、ボールを見ていないのに見えるのだそうです。不思議です。
ドラマとか漫画でも、よく見かけます。武道や剣術を習っている場面で、「心の目で見るんだ」とか、「感覚を研ぎ澄ませ」とか。
実は読書も、文字を一文字一文字追っていると、視野が狭くなって読めないんだそうです。全体をふわぁっと眺める。だけど文字は読めている。
見たいものをじっと見つめるのではなく、全体を見たほうが見えるようになる。もしくは、見ないほうが見えるようになる。
集中状態に入ると、脳が本領を発揮するということですね。
たかが読書で、ここまで考えたことはありませんでした。
そして、ここまでくると、心は「静まり」という状態になります。静まっていて、集中していて、見たいものがよく見えるようになる。
そこで、④脳の状態が変わる。
静まり + ステートチェンジ = 読書モードという方程式。
これが基本姿勢と準備運動です。
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まず最初にスイッチを入れないと、どんなに速く読めてても、雑な拾い読みにしかならないそうです。
体と心の状態を調えてこそ、劇的に変わる。
「読書道」だと思ったほうがいいかもしれません。
本の内容が頭に入ってこないなら、「あぁ、心が乱れているな」と、自分の体と心をチェックしてみること。
コツは、自分の内面の状態を観察することだそうです。どうにかしようとはしない。ただただ、「自分は今、こういう状態なんだな」と認識するだけ。
まさに瞑想です。
そして、集中しているつもりでも、何かにとらわれている状態だとしたら、それは集中ではなく執着。
呼吸を意識して、執着を吐き出していくことを繰り返します。
それを無心に続けていくと、集中力を高めることが上手になっていくようです。
だから、トレーニングが必要なんですね。
スポーツの上達には、毎日の練習が欠かせません。
集中力で文字をとらえることができるように、「武道」ならぬ「読書道」として毎日やってみる。
たかが読書なのに、ちょっと笑えてきますけど。
でも、セミナーや講座に通っても何も身につかないのは、その後のトレーニング法がわからないからではないでしょうか。わからなくなるから、また通う。その繰り返し。
それよりも、毎日の読書で自分を磨いていく。
まして、必要知識が身につけば、生活にも役立つ。
効果がないわけがない。
簡単だけど奥深い。
これまでに知らなかった読書の世界。なかなか楽しいです。