長く続ける秘訣:週4で5年間、朝活を開催してる人に聞いてみた
趣味の朝活を、5年も続けているという朝活主催者さんに、その持続の秘訣といろんな裏話を聞いてきました。何をやるうえでも参考になる話なので、今回はその内容をレポートします。
どうしたら5年も続けられるのか? その秘訣は、苦労を知りたい!という目的にありました。
朝の1時間は充実度が違う
朝活って何?
《「朝活動」の略》始業前の朝の時間を、勉強や趣味などの活動に当てること。平成20年(2008)ごろからの流行語。
(デジタル大辞泉より)
朝の時間をどう過ごすかによって一日の充実度が決まる。もっと言えば、人生の充実度が決まる。よく、そんな話を聞きますよね。朝にはめっきり弱かった私ですが、朝型にしよう!と、あるときに思い立ちました。
そうは言っても、さて何をやろう? いろいろ考えました。真っ先に浮かんだのは、朝早く会社へ行くこと。早くから仕事するのもいいし、あるいは、デスクで自分の勉強をするでもいい。ちょっとデキる人っぽくていいかも?
実践してみたけれども・・・、私が通う会社は男性が多くて。ちょっと朝の雰囲気になじめなかったのです。それで、すぐに却下。
じゃあ、一人でカフェに行き、新聞を読んだり本を読んだりしようか? そういう人もたくさんいますよね。ステキなカフェで、のんびりと朝ごはん、優雅な朝。気分は、「ティファニーで朝食を」だね?
実践してみたけれども・・・、これがまた、恐ろしいほど面白くない。しかも、会社の立地のせいで、カフェの雰囲気が悪いところばかり。だったら家でもいいじゃないかと思ったら、家だとついダラダラ・・・。
それなら、ジョギングとかウォーキングとか、運動するのもいいかも? ひと駅、歩いてみるとか? ダイエットにもなるし健康にもなるし、いいよね?
実践してみたけれども・・・、暑いとツラいし、寒くてもツラいし。それに、やっぱり面白くない。一人だとモチベーションも続かない・・・。
いろんなことを考え、いろいろ挫折してみた結果、たどり着いた結論。「朝活」という会に参加してみよう! 誰かがいれば楽しいし、有意義かも?
さっそく実践してみようと思い、ネットで探して、いくつか参加してみたけれども・・・、ご想像つくかもしれませんが、けっこう勧誘系だったり、ビジネスにしてる場合も多くて。なじめないものばかりでした。
なかなか良いのがないなぁと思ってるなか、とっても健全で面白い会を見つけたんです。20~40代くらいの社会人が、出勤前の7時~8時までの1時間、日経新聞を読んだり、勉強したりしつつ、皆で真面目な話をするという、いたって真面目な集い。
しかも、主催者さんは趣味での活動。会費はありません。完全なるボランティアで5年間も続けてきているのです。
そんな朝活に、私もたまに参加するようになりました。朝から会社以外の人と会い、いろいろ話してエネルギーを充電する。メンタルに与える影響っていうのが、とっても大きいです。
繰り返しますが本当に健全な集まりです。出会い系でもなければ、勧誘系でもない。朝から勉強したいという、純粋な動機の人が集まってます。
そこの主催者さんは、雨でも台風でも、たとえ参加者がいなくても、ずっと続けているそうです。出張など、仕事の都合でどうしてもできないときだけ、臨時休業になりますが。それ以外の理由で休んだことは一度もない。しかも、純粋な趣味。
いったいどんな思いなのだろうと気になっていたところ、リクエストに応えて、これまでの運営についてと、長く続ける秘訣について、プレゼンをしてくれました。それをご紹介します。
5年間の朝活のノウハウ
開催回数と延べ参加人数
5年間での累計数値
開催回数:約800回
参加人数:約4000名
まず、プレゼンの方法として上手だなと思ったのは、数値を出してきたこと。数値で見せるって大事ですよね。
ただし、最初の頃はちゃんと集計してなかったため、どうしても5年間の累計だと曖昧な数値になってしまうようです。そうは言っても、5年間の苦労がひと目でわかる。単なる趣味でのプレゼンなのに、さすがだと思いました。
人を納得させるには、 具体的なデータが必須! 数値を出そう! 何をするにも心がけておいたほうがいいことですね。
ちょっとした発表から、まずはそんなことを学びました。プレゼンとかセミナーって、いろいろ聞いてみると何かと役に立ちます。
開催の動機は?
会社勤めをしていると、何でも「ある」ことが当たり前になる。最初から、会社があって、お客さんは既にいた。「ある」が前提で働いていると、感謝の心が生まれない。だから、イチから創り上げる苦労を知りたいと思った。成功よりも苦労を知ることが目的だった。
目的は、 成功ではなく苦労を知ることだった。
その考え方、すごくいい! そういう目的でいけば何にでも挑戦できそうで、心が軽くなりました。
「成功」を目的にすると、「成功しなきゃ!」って焦りも生まれるし、「もっとできるはずだったのに・・・」とムダに自尊心が傷ついたり、虚栄心がわいてきたり。
だけど、「苦労を知ること」が目的なんだから、苦しいと思ったとき、それこそ目的どおり!なわけですよ。それって、すごくいいと思いませんか?
自尊心も傷つかないし、苦労が知れたことに満足もできる。メンタルの弱い人には、うってつけの方法。
私も、苦労を知ることを目的にしてみようかなって本気で思いました。そしたら、苦しくて当たり前。傷つかずに済むってかなり嬉しい。
やっぱり、誰も来なかったり、予約が入ってもドタキャンになったり、そんなことがあると、心は折れるそうです。それで、すぐに撤退していく朝活もたくさんあるのだとか。メンタル面で続かないのです。
そうしたなか、5年間も続けてきたなんて、まさに目的を成就してて素晴らしいです。
人が集まる活動の共通点とは?
【人が集まる活動の共通点】
- 募集内容がわかりやすい
- 活動報告、参加者の感想がある
- 実施する理由が明確
- 活動回数が多い(良さそうと思っても参加できなければ意味がない)
なんと、この主催者さん、最初は右も左もわからなかったから、まずは自分が、いろんな活動に参加してみたそうです。しかもほぼ毎日! それは、朝活だったり、社会人サークルだったり、異業種交流会だったりと、精力的に参加してみたそう。
まずはリサーチから始める。何ごともビジネス目線なのが、面白いところです。そうして、実際に自分の目で、人が集まる活動と集まらない活動をたくさん見た。そのなかで感じたそうです。人を集めるにはこうしたらいいのか!っていうコツを。
実は、集まらない活動にも共通点がありました。それはもちろん、上に挙げた、「集まる活動の共通点」の真逆のことですが、それに加え、「集客する」という視点がまったくないことだったと。
だからこそ、集客のための努力は怠らないでいこうと思ったそうです。
もちろん、趣味でやってるとは言っても、そのノウハウを仕事でいかしたいという気持ちがあってのことだとは思いますが、それにしても、そこまでやるとは感心しました。
一般的には、もっと仕事に直結するような活動を選びますよね。それなのに、朝活をたちあげてみたという、その目のつけどころに驚きです。
スタート前は、そんなふうにいろいろ参加し、比較検討して熟考したそうですが、スタートさせてからは、ほかのグループとの比較はしないようにしているそうです。比べてしまうと、気持ちがアップダウンして良いことないから、目の前の参加者を大事にすることに集中しよう!と。
最初は比較検討が大事だけれど、いざ決定したら、目の前のことに集中すること!大事な視点を学びました。
ちなみに、なぜ朝活を選んだのか?っていう理由としては、夕方だと仕事に左右されるから、朝しか選択肢がなかったとのこと。また、社会人サークルでうまくいってるところは、ほぼ仕事化しており、趣味でやることは不可能。朝活なら続けられそうだと判断したのだそうです。
ターゲット設定はおこなったか?
意志が高く、行動的な人に参加してもらいたいが、朝活の認知度は低い。7時から参加できる人も少ない。だから、ターゲットを選べる状況じゃなかった。
どんな仕事においても、まずはターゲットを絞るというのは基本ですよね。誰に向けて、何をやるのか?と。ただし、朝活に限っては、ターゲットは無しとせざるを得なかったのだそう。だって、絞りすぎたら誰も来なくなるから。
「朝活」という特殊性もあるかもしれませんが、それはそれで、なかなか新しい観点かもしれないなと思いました。
私も、ブログを書いていると、常に問われるんです。「誰のために」「何を」書いているのか?と。やはり、ターゲットを絞るというのは王道なわけですが・・・、まったくもって、わからないんです! 思ってたよりも若い人が読んでくださってたりとか、逆に、大先輩のような方から良い反応を頂けたりとか。わからないものだなぁと思います。
ターゲットだけではありません。自分では良いと思ってたものが良くなかったりとか、良くないと思ってたものが良かったりとかもして、考えていたことと全然違ったりもするので。ますますわからなくなります。
だからこそ、ターゲットは無し!っていうのが、潔くて良いなと思いました。もちろん、ビジネスではNGでしょうけどね。
ただし、絶対に来てほしくない人だけは定めたそうです。それは、勧誘活動をする人。まぁ、それは当然のことですよね。で、面白いのは、そのあとなんです。
それを阻止するためには、どうしたらいいか? 何をやればいいか? 考えたあげく、思いついたアイディアとは・・・
まずは自分が勧誘系の集まりに参加しよう! 彼らの生態を知ろう!
この話には本当に爆笑してしまいました。趣味でそこまでやりますか?と。まずは敵を知れ!ってことですね。実際にたくさん参加してみたそうです。
そこでわかったことは、彼らは、リターンの薄い場には興味がないということ。だから、リターンをなくすことに徹したとのこと。
具体的には、初参加者の連絡先交換は禁止(2回目の参加から交換)。PRさせないような進行を工夫。勧誘行為には明確に「ノー」を突きつける。
リターンが望めなければ、来なくなるそうですよ。
参加者のどのニーズを満たすか?
マズローの欲求5段階説は有名ですよね。そこで考えたそうです。
果たして、参加者のニーズはどこにあるのか? どの欲求を満たしてあげれば満足してくれるか?
どこにあると思いますか? それは、私にとっては意外な答えでした。
それは何と・・・
安全の欲求
私は、承認欲求だと思ったので、安全の欲求だったということで、ちょっと視野が広がりました。
なぜ安全の欲求が大事なのかというと、初参加のとき、たいていの人は不安になるからだそう。もちろん、そのとおりです。どんな人がいるのか? あやしげな会ではなかろうか? 輪に入れるのかな? いろんな不安があって、緊張しますよね。だから、まずはその緊張感を解くことに集中する。
言われてみれば当たり前のことなんですが、それを「安全の欲求」だと見なすっていうのが、まったくの盲点でした。
ちなみに人は、「緊張してますか?」と聞かれて、「緊張してます」と自分の口で言えた瞬間、緊張は解けるのだそうです。自分の言葉で言えただけで安心感が生まれるんですね。
覚えておくと役立つと思います。「緊張してますか?」のひとことを是非!
心がけていること
常に心がけていること
- 主催者は必要以上にしゃべるべきではない(参加者はしゃべりたがっている!)
- 皆で自撮り・キラキラ写真は公開しない(嫌われる場合が多い)
- 自分の思いは、ことあるごとに参加者へ伝える(頭で思うだけではNG!必ず発信する)
- 世のため、人のためは言わない(偽善的で嫌われる)
真似したいことがたくさんありすぎて、すべて挙げるとキリがありません。
とにかく、たとえ趣味でも、5年間も続けたら、人に語れるものが出来上がる。どんなに些細な事でも、続けていけば立派なノウハウ。
続けることの良さがガッツリと伝わってきました。私も、コツコツと続ける姿勢を、見習っていこうと思います。
そして、「たかが趣味だし」と、あなどらないこと。反省しました。趣味だろうと何だろうと、やるからには全力で!
もしも、続けているものがあるのなら・・・、そのノウハウ、かなり貴重な財産です。発信してみたら、絶対に喜ばれる!
蓄積したノウハウは、発信してこそ光り輝く! それも心に刻んでいきたいことです。
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いろんな話があって、役立つことが満載だったのですが、特に、この5年の間で一番の学びは何だったか?という、次の話が印象的でした。
人数が少ないと、モチベーションも下がるし、どうしたら増えるかと悩む。人数が増えたら増えたで、進行面や運営面で思いがけない悩みが発生する。人間って、どんな状況になっても悩むものなんだ。
本当にそのとおり。失敗しても悩むし、成功しても悩む。悩みが無くなるってことはない!
だから、悩みを避けるのではなく、たくさん悩もう! そして、苦労を知ろう! それこそ、長続きの秘訣。