自分の真の望みに気づかないと目標を立てても変われない:いつわりの希望シンドローム
「かんたんに目標をあきらめてはまた決心する」ということを繰り返してしまいます。あざやかに変身した自分の姿を想像すれば最高の気分に酔えるので、なかなかやめられないのです。
どんなに自分に優しくしようと思っても、どんなに変わろうと決心しても、また同じことを繰り返してしまう。
決心することにも落とし穴がある
「スタンフォードの自分を変える教室」
どうにでもなれ効果の話はコチラ。
今回は、いつわりの希望シンドローム
①イヤな出来事が起きる
↓
②自己嫌悪に陥る
↓↑
③目標を立てる(一瞬で気分が上がる)
↓↑
④努力をしない
いつわりの希望シンドローム
目標を立てると、無限ループにはまる
変化をもたらす過程で最もラクで気分もいいのは、変わろうと決心するときです。そのあとは苦しいことが続きます。自制心を発揮して、やりたいことを我慢し、やりたくないことをやらねばなりません。
自分を責めると、「どうにでもなれ」と思ってしまい、変われなくなる。
では、頑張って「どうにでもなれ」という気持ちを振り払ったとしましょう。
心を持ち上げて、希望を持ったとします。
ちょっと衝撃的ですが、その時にも、無限ループにはまることがあるというのです。
それを「いつわりの希望シンドローム」と呼んでいます。
「どうにでもなれ効果」と構造は似てるのですが、自己嫌悪に陥ったあとの行動が少し違うんです。
「どうにでもなれ効果」では、「息抜き」
「いつわりの希望シンドローム」では、「目標を立てる」
目標を立てるのは、いいことのように思えますね。
何が問題だというのでしょうか。
決心することは、気分がいい
変わろうという決心は、目先の欲求を満足させるには効果的です──まだ何ひとつなしとげていなくても、いい気分になれるのですから。
「目標を立てる」こと、そして、違う自分になろう!と決心することは、とても気分が良いものです。
お正月に「今年の目標」を考えている時、なぜかワクワクした気分になりますよね。
今年はどんな一年になるのだろう・・・と。
新しい自分になったかのような、すがすがしい気持ちになったりします。
だから人は、決心をすることが好きなのです。
日々の努力は、つまらない
自分の行動を変えるための具体的な努力をするよりも、みごとに変わった自分の姿を想像していい気分にひたっていませんか?
決心は楽しいのです。それに比べて、日々の努力は楽しくありません。
誰も見てくれず、孤独の戦いとなります。
そして、いつしか、努力をやめてしまう。
決心をした後は、それに見合う努力をしなければ、結局は何も変わりません。
そして落ち込んで、また決心するのです。
だけど今度も、また努力から逃げてしまいます。
「目標を立てる」ことが、一時的な気分の高揚を達成するので、「息抜き」と同じような効果を発揮しているのです。
結局は、「どうにでもなれ効果」と同じループを、繰り返してしまいます。
将来の報酬には、価値を感じない
脳は、目先の報酬に反応する
目先の報酬は昔ながらの原始的な報酬システムに働きかけ、ドーパミンによって欲求が生まれます。この報酬システムは、将来の報酬にはほとんど反応を示しません。
「まやかしの報酬」も、「いつわりの希望シンドローム」も、なぜ起きるかというと、目先の報酬・目先の欲望に目がくらむからです。
私たちの脳は、長く待たなければならないことには報酬の価値を感じないそうです。
だから、目先のことに飛びついてしまうのですね。
ちょっと待てば、もっと大きな報酬が得られるとしても、目先の小さな報酬のほうを魅力的に感じます。
ストレスを感じてる時は特に、「とにかく何とかしたい」と思っているため、理性的な判断ができずに衝動的になりやすい。
野生の社会で生きていた時には、長期的な目標よりも目の前のエサのほうが大事だったからです。
その本能のせいで、本当に大事なものを大事にできず、どうでもいいものに手を出してしまうことがしょっちゅう起きます。
まず、10分待ってみよう
欲しい物のために10分待つなんて、たいしたことじゃないと思うかもしれませんが、神経科学者らの発見によれば、たったそれだけのことで、報酬に対する脳の受けとめ方は大きく変わることがわかりました。
欲しいと思った時には、10分待ってみることがコツだそうです。
たった10分でも冷静になれます。冷静になって、それでも欲しいと思えれば、それは本当の望みだと思ってもよさそうです。
10分経って消えるようなものなら、一時の衝動でしかありません。
そういう見極め方も役に立つと思います。
最初の誘惑や欲望は、「まやかしの報酬」である可能性があることを気にとどめておいたほうが良いということですね。
まず10分待つ。心がけてみよう。
心の底からの望みを知る
目標感染
心理学やマーケティングや医学の研究が示しているとおり、私たち個人の選択は、他人が考えていることや、欲しがっているもの、やっていること、さらには他人が自分に期待していることなどに、強い影響を受けています。
今、目標にしていること。それは、本当に自分の目標でしょうか?
いつの間にか、周りの人に影響を受けて、「自分もやらなきゃ」と思っていないか?
そのことを「目標感染」というそうです。他人から感染しているのです。
実は、自分の本心ではないかもしれないのです。
人は、「よいことをしたい」欲求よりも、「みんなと同じでいたい」欲求を強く感じます。
そのことに気づかなければなりません。
それが悪いこととは限りません。
ただし、自分の納得いく答えかどうかは、よくよく見極めたいものです。
感染はどうしてもします。
まったく影響を受けないというのはあり得ません。
だから、最善の方法としては、目標が似ている人に近づくことでしょうね。
または、こんな風になりたいと思う人を目指す。
嫌悪感を抱いている人には近づかないほうが得策です。
いつしか感染してしまうからです。
ほんとうの意味でのいい気分とは?
私たちは自分がほんとうの意味で晴れやかないい気分になれる方法を見つける必要があります。それは、まやかしの報酬を期待することでもなければ、「こんどこそ変わってみせる」という虚しい約束でもありません。
「まやかしの報酬」ではなく、「いつわりの希望」でもなく、「目標感染」でもなく、
自分自身が本当にいい気分になれること
心の底から望んでいること
それは一体何でしょう?
「まやかしの報酬」や「いつわりの希望シンドローム」、「目標感染」から解放される必要があります。
なかなか難しいですね。本当にこれでいいのか、自問自答を繰り返し、結局は自分で答えを出すしかないです。
自分にとって最大の「望む力」──元気が出ないときでも強さを与えてくれる力──を発見したら、誘惑に負けそうになったときや、目標をあきらめそうになったときはいつでも、その力のことを思い出しましょう。
「元気が出ないときでも強さを与えてくれる力」、
本当の望みかどうかを知るコツは、そこにあるかもしれません。
その力が出るものかどうか? そこを基準にしてみよう。
毎日、自分自身を振り返る
自分のやってきたことをふり返り、目標をあらためて心に深く刻み、その目標に向かって自分がいっそう努力したくなるように仕向けなければなりません。
おススメとしては、毎日、「振り返り」を行うことです。
それは、たくさんの人が言っています。
ichigo-it.hatenablog.com
ichigo-it.hatenablog.com
とにかく自分を振り返り、分析し、常に見直していくのです。
感情を受け入れ、自分を許し、次の行動を、自分で主体的に選ぶ。
自己コントロールとは、それこそ一日じゅう、目標から離れかけている自分に気づき、ふたたび目標へ向かって軌道修正するプロセスなのです。
自分の本当の声を聴こうと心がけながら自分と対話をすることですね。
他人の言葉に振り回されることなく。
~まとめ~
一番の規準は、自分の真の望み
それこそが自分に力を与えてくれる
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人間関係の悩みを解決するには、まずは自己受容。
「嫌われる勇気」シリーズ
①人間関係は人生のタスク
②自己受容と課題の分離
③他者信頼と他者貢献
じゃあ、自分を受け入れるにはどうしたらいいの?
それが、このシリーズ。
【ハーバード・スタンフォードシリーズ】
「ハーバードの人生を変える授業」
①自分に嘘をつくことが一番のストレス
②完璧主義は現実拒否。受け入れよう
「スタンフォードの自分を変える教室」
①どうにでもなれ効果
②シロクマのことは考えないで!
③いつわりの希望シンドローム ←今ココ
「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」
①ストレスフリーって実は不幸
②ストレス肯定は、自己肯定