P/PCバランスで効率性より効果性を。人を大切にしよう|七つの習慣
結果を生み出してくれるのは、資源(人)である。
効率化は、ときに資源の枯渇を招く。最大の効果を得たいなら、資源と結果のバランスをとること。それが「七つの習慣」の原則の一つ。
「七つの習慣」は、効果性の習慣である。これは原則に基づいた、長期的に最大の有益な結果をもたらすものである。
現在、広く知られている自己啓発や成功法則などは、効率性を重視しています。いかに効率よく結果を出すのか。
だけど、そこを追い求めすぎると資源を失ってしまうことになります。
「七つの習慣」では、効率性ではなく、効果性をうたっています。効率性に比べて結果は遅いかもしれない。だけど、効果性を考えなければ、すべてが水の泡。
そのことを、イソップ童話の「ガチョウと黄金の卵」の話をとおして説明されていました。
ガチョウと黄金の卵
結果を得たいなら、資源(人・物・金)を大事にすべき
ある貧しい農夫が、飼っているガチョウが黄金の卵を産んでいるのを見つけた。なんと、卵は純金!
その後もガチョウは毎日、黄金の卵を産み続け、農夫は大金持ちになった。
しかし農夫は、1日1個しか卵を産まないガチョウに物足りなさを感じ、ついにはガチョウを殺し、腹の中の卵を一気に手に入れようとした。
ところが腹の中に黄金の卵などなく、そのうえ黄金の卵を手に入れる手段さえも失ってしまった。
教訓:結果を追い求めすぎると、それを生み出す資源を失ってしまう。
大事にすべきは、効率性ではなく効果性である。
童話として読むと、農夫の行動がバカげていることはわかります。
だけど、実際に自分たちがやっていることの多くは、同じことなのです。
資源とは、人・物・金の3つ。
なかでも最も重要なのは、人だそうです。なぜなら、人が、物と金をコントロールするから。
社員を大事にしようとか、顧客を大事にしようとか、家族を大事にしようとか、すべては人を大事にってことですね。
貴重な資源として、丁重に、尊敬をもって、大事にできているかどうか?
そこがなければ、結果は得られないし、得たところで空虚なものだと思います。
頭ではわかりますが、現実を目の前にすると、すぐに忘れてしまうものです。
先日、祖父の葬儀がありましたが、親せきが集まると、やはり良いことばかりではありません。様々なイザコザも起こります。段取りが悪いとか、何も聞いてないとか。
確かにそうだけど、「祖父を送り出したい」という気持ちで、皆が集まってること、一人一人が大事なんだってことを忘れてしまっては、どんなに段取りが良くたって意義がなくなる。結局は、貧しい農夫の行動と何も変わらないわけです。
かと言って、進行がままならなければ、それもそれで葬儀という意義をなさない。
資源(人・物・金)を大事にし、かつ、結果も大事にする。そのバランスが必要なんですね。
それを、P/PCバランスと呼んでいます。
P/PCバランス(結果/資源・能力)
P/PCバランスは効果性の中心的な概念であり、人生のすべての側面で実証されるものである。この原則に従うか、あるいはそれに反発するかは自分で選べるが、どちらにしても原則が必ず作用する。いわゆる灯台なのだ。「七つの習慣」はこの効果性の定義とパラダイムに基づいているものである。
Perfomance:結果(黄金の卵)
Perfomance Capavility:資源(ガチョウ)=人・物・金
Pは結果。PCは資源。結果と資源のバランスを、P/PCバランスと呼びます。
結果だけでは意味がない。だけど、資源だけで結果がないなら、やはり意味がない。バランスをとることが効果性だというのです。
例えば、社員を大事にしていても、利益が出ないなら、結局は給料も支払えなくなる。ただの仲良しチームではないということですよね。
だけど、利益を追求するばっかりに、社員をおろそかにするなら、いつしか社員はいなくなってしまう。
何をするにも、やはりバランスが大事だというのは、うなずけます。仕事に限らず、人生全般において言えることだそうです。
もっと身近な例としては、「娘の部屋をキレイにしたい」という話が挙げられてました。
「部屋をキレイにする」のは結果です。そして、「部屋をキレイにしてくれる人」は娘(=資源)です。
「掃除しなさい」「なぜやらないの?」と叱られてばかりでは、娘は反発する。「強制労働」のように感じてしまうからです。最終的に、娘がウツ病になったり、家出をしたりという事態にもなりかねません。
そこまでじゃなくても、「命令」からは信頼関係は生まれないのです。
そんな小さな事柄についても、P/PCバランスという考えをベースにするというのには、ハッとしました。
効果とか生産性とかいうと、どうしても仕事というイメージがつきまといますが、そうではなく、自分の生き方そのもの。
その生き方が、仕事にも家庭にも、結果となって表れてくるという意味なのでしょう。
原則を自分の中心にしっかりと置くことは、自分の生活すべてを変化させていくことになります。
だから「習慣」なのです。
P/PCバランスを維持するには難しい判断が要求される。しかし、それこそが効果性の本質なのだ。それは短期と長期のバランスをとることであり、良い成績を取る欲求と真の教育を受ける必要性のバランスをとることであり、きれいに片づけられた部屋が欲しい気持ちと、言われなくても掃除をする子供との関係のバランスをとることである。
私も、親からはしょっちゅう叱られました。「なぜ、できないのか?」「なぜ、お前は○○なのか?」
だけど、それを言われたところで、やる気は減る一方です。愛されてるという実感も持てません。
逆に、会社では私も思ってしまいます。「なぜ、やってくれないの?」「なぜ、理解できないの?」
どこに行っても同じことを繰り返しています。P/PCバランスを無視すると、問題を引き起こしてしまうのですね。
大事な資源だと思って、バランスをとっていけるかどうか。
たしかに、「こうすれば成功できる!」という簡単なものではありません。人格を磨くのが難しいというのはそういうことです。
「掃除をしてくれる?」という優しい言い方ならいいのか? 「掃除をしないと怒るよ!」というムチを使うべきか? そんな手法というレベルは、時と場合によっても変わります。
娘を「資源」だと思ってるのかどうか、丁重に扱う気持ちがあるのかどうか。「人格」とはやはり、「内面性」ですね。それがベースにあったうえで手法を考えなきゃいけない。
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私の母親の兄弟は、一男四女です。長男と長男のお嫁さん(私からすると叔母)については、昔からいろんな話を母から聞いてきました。お嫁さんは、「いじめられてる」と言ってたそうですが、「そんなことしてないのにねぇ」と。
だけど、今回の葬儀で、ちょっとだけ視点が変わりました。だって、四人の小姑を相手に、長男の嫁として生きてきたわけです。そりゃあ、大変でしょうね。しかも、狭い村社会なので。
当事者にしかわからないこともあるし、私は客観的に眺めていただけなので事実も真実も把握できませんが、どっちの立場に立つかで、見方がガラッと変わるだろうなぁと思いました。
そして祖父母は、全員に平等に接するために奮闘してきたはず。
批判や愚痴を鵜呑みにしないほうがいいと感じました。どっちにも、どっちの言い分があって、どっちも正しい。
前回は、習慣を身につけるには、知識・スキル・やる気の3つが必要という話でしたが、「やる気」のなかでも、やはり、「人」に対する「やる気」が持てるかどうかがポイントのような気がしてきました。
「人(資源)を大切にしたい」というやる気。それがないから、批判や文句ばかりになるのです。
資源を大切にし、バランスをとる。
例えば、一家の稼ぎ手が夫であるなら。お金をもたらしてくれる資源を大切にしなければならない。
逆に、生活面での安定は妻のおかげ。やはり、資源を大切にしなければならない。
うまくいかないのは、ガチョウを殺してしまってるからかもしれない。
P/PCバランスは効果性の中心的な概念であり、人生のすべての側面で実証されるものである。この原則に従うか、あるいはそれに反発するかは自分で選べるが、どちらにしても原則が必ず作用する。いわゆる灯台なのだ。
結果を生み出してくれるのは資源である!
人を大切に。そのうえでの結果を目指そう。